• 民事信託とは?

    「私」の財産を「あなた」に預けるので「彼(=私)」のことを頼みます。
    そんな「私」と「あなた」の自由に組み立てられる契約です。

    例えばこんなご要望に応えられる新しい制度です。

    1. 体力低下、認知症等の対策として、ご自身の老後の準備への活用
    2. 障害者などの親亡き後の支援問題への活用
    3. 遺書の代わりとしての活用
    4. 事業承継をよりスムーズに、そして株式の分散防止としての活用

    事例で見る民事信託

    おじいさんの悩み

    • 最近、足腰が弱くなってきているし今後、認知症とか急な病気な時にしっかりと財産を守れるだろうか、老後の生活が心配。
    • 自分が亡き後のおばあちゃんの生活も心配。
    • かわいい孫娘にも財産を残してあげたい!

     先ずはこんな要望に応えた民事信託契約を簡単に紹介します。

    その1 契約の当事者

    今回の私はおじいさん、あなたは息子さんに登場してもらいます

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    その2 信託の目的

    1. おじいさんの体力・判断能力が落ちても、おじいさんの今の意思を尊重した財産管理
    2. おじいさんと、おじいさん亡き後のおばあさんの生活支援
    3. おじいさんの亡き後の孫への定期的な財産の給付

    その3 利益を受ける人

    今回の「彼」は最初はおじいさん、おじいさん亡き後はおばあさんとお孫さんに登場してもらいます

    1. 最初はおじいさん
    2. おじいさんが亡くなった後はおばあさんとお孫さん

    ※ここに遺言と同様な財産の継承効果があります。

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    その4 信託の目的財産

    1. 賃貸不動産
    2. 現金
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    その5 信託の期間

    1. おじいさん、おばあさんが亡くなるまで

    その6 残った財産の受取人

    1. 息子さんとお孫さん

    ※ここに遺言と同様な財産の継承効果があります。

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    先ほどの契約書を絵で表してみました。

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    これらの一連の流れを事前に契約で決めておくことが家族信託契約です

  • ポイント1

    おじいさんの財産は、財産を管理・運用・処分する息子さんの名義となります。ただし、信託された財産は息子さん個人の財産とは完全に分けて所有することになります。
    →信託口座の開設・信託目的での不動産の移転
    ですから、息子さんが仮に破産をしたとしても原則、信託財産は守られます。

    ポイント2

    最初に利益を受ける人、2番目に利益を受ける人などを決めておくことができます。
    →ここに、遺書と同様な効果があります
    今回は贈与税を配慮して最初に利益を受ける人はおじいさん本人だけにしてあります。

    ポイント3

    信託が終了したときの、残った財産の受取人を決めることができます。
    →ここでも、遺書と同様な効果があります

    ポイント4

    息子さんは信託の目的の範囲内でしか財産の管理・運用・処分することができません。
    →後見制度より柔軟な財産管理が可能です​

  • 民事信託の税金

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  • 登場人物の紹介と説明

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    依頼者(おじいさん)

    契約当事者

    自分の財産を他の人に託して信託を設定する人を委託者と呼びます。信託契約に託する財産は全財産でも財産の一部でも構いません。

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    財産を預かり管理・運用する人

    契約当事者

    委託者と契約して、財産を預かり信託契約の目的に従って管理・運用していく人を受託者といいます。
    そこからの利益は、利益をもらう人に渡します。
    受託者は法律上、特別な許可がない限り(信託銀行等でない限り)何度も繰り返して行えません。

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    利益をもらう人

    契約当事者ではありません

    契約内容の通りに利益を受ける人を受益者といいます。
    受益者は委託者本人でも大丈夫ですし、他人でも構いません。
    また、受益者は最初の受益者、2番目の受益者を連続して決めることもできます。

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    残った財産を受け取る人

    契約当事者ではありません

    信託契約が終了して最後に残った財産を受け取る人を帰属権利者といいます。
    帰属権利者は基本的にはどなたでも構いませんので、受託者が帰属権利者となっても大丈夫です。

  • 他の制度とはココが違う民事信託

    預かっている財産の積極的な運用・処分が可能です。

    ⇔成年後見制度

    預かっている財産を本人以外の大切な人の為にも使えます。

    ⇔成年後見制度

    預けた財産の利益を受ける人を順次指定していけます。

    ⇔遺書

  • 以下の遺書の赤文字の部分は遺言としては無効になります。

  • 遺言書

     

     1、私の下記不動産は妻のAに相続させる。

     

     2、妻の死後は下記不動産は孫のBに相続させる。

     

     

     不動産の表示
      東京都新宿区〇〇1番2丁目3号の土地
      東京都新宿区〇〇1番2丁目3号の建物

      東京都新宿区〇〇1番2丁目3号
             甲野 太郎  

     

     

  • 契約をしているので実現可能性が高い壊されない遺書の代わりになります。

    ⇔遺書(遺書ですと相続発生時に遺書に書いた財産が残っていないと効力が発生しません。問題になるのは成年後見人による不動産の生前処分等です。)

    依頼者の死亡によっても相続財産とはなりません。

    ⇔相続

  • 民事信託でも解決できないこと

    遺留分減殺請求

    相続人の遺留分を侵害している場合、受益者等が遺留分減殺請求を受ける可能性があります。民事信託でも遺留分対策は必要になります。

    相続税・贈与税

    民事信託のみでは、基本、相続税対策にはなりませんが、各種の相続税対策を組み入れることは可能です。

  • 民事信託のデメリット

    • 受託者(財産を管理・運用する人)が見つかりにくい。
    • 損益相殺ができない。
  • 時系列に見る各種制度の比較

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  • 各種制度の比較

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